ビジョナリー・カンパニー 2

「ビジョナリー・カンパニー 2」を読み終わった。なかなか読ませる本で一気に読めてしまった。

昨日の日記で、僕は、メンバーにやる気を感じてもらう必要があると書いた。しかし、この本では、組織のメンバーの意欲を引き出すのは問題ではないと言っている(最初に正しく人を選びさえすれば)。それよりも、メンバーの意欲をくじかないことの方が重要。では、意欲をくじくのはどういうときかというと、組織内の力のある人たちが、厳しい現実を直視せずにいい加減なことを言っているとき。

自分たちの力とやるべきことを理解(決して作るのではない)し、シンプルな行動原理に落とし込み、巨大な弾み車を少しずつ回していくように、ものごとを少しずつ進めていく。弾み車が回るうちに各人が直感的に判断する「これを続けていれば、すごいことがおこるぞ」と。目標を押し付ける必要はないし、管理に労力をかける必要もない。そして、いつしか、弾み車は誰にも止められないくらいに勢いがついてくる。

シンプルな行動原理に落とし込むまでは、定められたメンバーで徹底的に議論するのが良いらしい。しかし、僕にとっては「議論」というと不毛なイメージが付きまとっている。当り障りのない意見が好まれ、組織の弱みを客観的に分析する雰囲気にはならない。さらに、参加者が自分の力を誇示しだすともう駄目。ものごとの失敗の原因は、すべて特定個人のせいになる。そういう自分も、たまに切れて場の雰囲気を壊してしまう(良く先輩にフォローしてもらって助けてもらっている。反省した方が良いだろうな)。

この本の一番の特徴的なテーマである、「最初に正しく人を選ぶ」については、その具体的な方法の記述は少なかった。むしろ、優秀な人(実績のある人)をポストがなくてもとにかく雇えという記述が目立った。ソフトウェア開発チームでそんなことをすると、プライドの高い人ばかりが集まってコミュニケーションが少なくなり、皆、自分たちの担当以外の部分に対して意図的に無関心になったり、また、マネージャは余っている戦力をとにかくどこかに割り当てようとして、向いていない仕事を開発者に押し付けたり、、、とかいろいろトラブリそうだな。

まあ、人の選び方については一般的な原則はないので、各人の環境の下で、各人が判断しなければいけないということなのだろう。僕が人を選ぶとしたら(そんな立場にはないが)、この本を読んで面白いと感じる人を選びたい。えらい敷居が低いのかもしれないが、僕にとってはそれで十分。自分の力を誇示するためでもなく、手っ取り早くお金をもうけるためでもなく、技術を追うためでもない。偉大なことの実現に寄与するという意識をもって毎日の仕事に取り組めたら幸せだと思う。そして、そういう幸せを共有できる人と一緒に仕事ができれば楽しいと思う。